こんにちは
元帰国子女、元留学生、元駐在員、ついに駐妻のLamaです。
中国で楽しく平和に2人の子供を育てていましたが、コロナの影響で北京の自宅に帰れなくなり、日本で避難生活中です。
英語ゼロから子供をインターに入れましたが、約1年半の英語の成長ステップの記録を共有したいと思います
Lama自身帰国子女なのですが、海外に出たのが11歳の頃(かつウン十年前…)。
このくらいの年齢になると大人と同じように日本語を土台にして、辞書を必死で引きまくり英語の読み書きを学んでいるので、まっさらな状態の子供たちがどうやって読み書きを学ぶのか、とても興味がありました。
イギリスのカリキュラムではちょうど娘がインターに入学した5歳になる学年から読み書きのお勉強が本格的に始まります。
英語ネイティブの「国語」の勉強はどこから始まるのでしょうか?
フォニックス(Phonics)を学ぶ
フォニックスって何?
日本語の「ひらがな」のように「あ」と書けば、疑いの余地なく発音は「あ」なのに対して、英語は例えば
“ask”,
“apple”,
“ball” … と
そもそも”a”なのに「エー」と発音されないうえに、「ア」だけではなく、「ア」と「エ」の間のような音や、「オ」に近い音になるケースなど綴りや読み方のパターンがさまざまです。
日本では小学一年生でもひらがなで書いてあれば教科書が読めますが、英語圏の子供たちは遅い子だと5,6年生でも相当たどたどしい...
こんな感じで、難しいことを教えるという前提で、少しずつ、単語を意味とセットで理解させ、綴りを覚えるというWhole Word Methodという教授方法が主流でした。
日本の英語教育も単語で覚えさせるので、イメージ近いかもしれません。
確かにアメリカの学校では6年生くらいまで「Vocaburary」っていうクラスがあったぞ!
しかし、これだと見たことがない言葉はどう読むかわからない。
子供によっては単語量が一定程度増えるまで時間がかかるので、なかなか本が読めるようにならない。
本が読めない → 勉強が進まない → 落ちこぼれる → グレる → 刑務所
みたいな悪いサイクルにはまるパターンです。
ではフォニックスはどうでしょう。
上記のWhole Word Methodとは逆に「単語」を覚えるのではなく、英語をパーツに分解して、文字と発音の関係に着目し、文字を読みこなす訓練を積む学習方法です。
フォニックスのクラスではまずアルファベットを a=エー、b=ビー、c=シーと教えません。
フォニックス的にabcを言うと
a=æ(ェア)
b=b(ブ)
c=k(ク)
です。
どの文字をどう発音するか、一旦発音ルールさえ覚えてしまえば、意味が解らなくてもとにかく読めるようになるのです。
初歩段階で発音ルールを先に覚えて、その後に意味を理解することに注力できるというフォニックス推進派と、単語の意味も解らず音読させて何の意味があるのか?!という従来型と、英語の教授方法をめぐってWiki先生によるとアメリカでは1980年代以降政治もからんで大激論が繰り広げられたそうです。
これを受けて数百件もの調査がそれぞれの教授方法で行われ、結果フォニックスに軍配が上がり、現在のように広く普及するようになったそうです。
どのアプローチが最も効果的かを決める最新の企画は全米リーディング委員会(en:National Reading Panel)によって実施されている(アメリカ国立小児保健発達研究所(en:National Institute of Child Health and Human Development、アメリカ国立衛生研究所#研究所を参照)、2001年)。
数百の研究を再分析した結果は、学術研究会議の結論を支持するものとなっている:フォニックス抜きの教育や embedded phonics にくらべて、フォニックスは読み方を教えるのに有効である。また、社会的・経済的地位の低い生徒にとって特に有益であることも発見された。
そしてひらがな・カタカナって実は天才的発明だったのね。
フォニックスで学ぶとどうなる?
Lamaの娘は日本では敢えて英語ゼロで育てていたので、まさにまっさらな状態。
学校で初めてアルファベットを「フォニックス」方式で学びました。
例えば:cat
まず3文字合わせて「キャット」とは習いません。(わかりやすいように発音記号ではなく近しいカタカナを使って説明しますね)
まず単語をc-a-tと一つ一つの音節に分解させます。
アルファベットで「エー」「ビー」「シー」と覚えても、”cat”は「シー」+「エー」+「ティー」とは読まないので
最初から
cは「クッ」(k)
aは「ア」(æ)
tは「ッゥ」(t)と独立した音を覚えます。
同じ文字でも発音のバリエーションがとか難しいことは教えず、まずはこの文字はこの音と一文字一音覚えさせます。
さらに、アルファベット26文字に加えて、”sh” 、”th”のようにセットで発音する音も含め全部で40以上の音を覚えさせます。
音節に分解して読んだ後で、それを合体させて一つの言葉として読む、という訓練を受けます。
例えば”shop”の場合
sh=「シ」、
o=「ォ」、
p=「プ」
3つに分解。
その上でブレンドして
shop=シォプ
って読むんだよ。
Lamaの娘はイギリス系のカリキュラムの学校です。
娘はオクスフォード大学出版が提供するRead Write Inc.のプログラムで授業を受けていますが、調べてみると、いろいろな会社がフォニックス教授法を開発、教材を用意しています。
国によって、綴りや言葉の使い方、季節のイベントが違うので、もし自分で選ぶときは、どの国で開発された教材か、にも目を付けて決めた方がいいかもしれません。(ちなみに日本の教科書はアメリカ英語色が強いです)
ちなみにイギリスで最もメジャーなフォニックスの教授方法はイギリスの教育技術省が提供するLetters and Soundsというプログラム。
次いでJolly Phonics(日本にも進出しているようです)
その次に娘が学んでいるRead Write Inc.の順番のようです。
どのサイトも無料の教材ダウンロードができたりするので、ぜひのぞいてみてください。
ちなみに、日本語だとYoutubeでブレイクして本まで出しているこちらも面白いです。
子供の声のキャラクターで解説しているのでわかりやすいと思います。
フォニックスの次のステップ
いろいろ説明しましたが、フォニックスはアルファベットと発音のルールに特化しているので、これ単体でOKということではありません。
イギリスの学習指導要領では、フォニックスを学習する際は「話す、聞く、読む、書く」の4つの領域を総合的に広げていくべきということが謳われています。
Lamaの娘もフォニックスのクラスが始まって3か月後、ちょうど20くらいのアルファベットの読み方を習い終わった頃から毎週本を宿題として持って帰ってくるようになりました。
日本だとクラス全員で一つのお話を時間をかけてゆっくり味わうような感じの習い方だったように思いますが、英語はとにかく多読推奨されます。最初は毎週1冊、1年たった今ではほぼ毎日新しい本を宿題として持って帰って来ます。
年齢ごとの適正レベルはイギリスの政府が定めた基準(Book band)がありますが、何といってもポイントは子供によってフォニックスの習得進度が違うので、その子のレベルに合わせて本が与えられるということ。
Lamaの娘が初めて持って帰ってきたのは絵だけの本でした。
そこから各ページ主語+動詞+目的語のようにとてもシンプルな1文だけの絵本。
最初は8ページだったものがレベルが上がるにつれて少しページが増えてきたり、文章が長くなったりしていきます。
基本は絵本で、コアのキャラクターは固定でストーリーも似ているので何となく想像もつく中で少しずつ読む力に加えて、語彙力や文章の構成なども自然に頭に入ってきます。
5,6歳の初級レベルでもたまに動物や化学の話など日本ではもう少し後に学ぶ論説文が入ってきたり、なかなか良くできていると感心させらます。
娘の学校ではオクスフォードリーディングツリーをメインに使っています。
オクスフォードが出版しているだけに、「ど」イギリス英語です。
Lamaはアメリカからの帰国子女なので単語の意味が違うものが結構あって衝撃的でした。
とはいえイギリスではほぼ8割の学校がOxford reading treeを採用しているので、もはや教科書といっても過言ではないでしょう。
もしアメリカ英語で学びたいなら、他にもたくさんの出版社でこうしたミニ絵本のセットが出ています。
LamaはアメリカのAmazonで評判が良かったBob bookを買ってみました。
やる気のない絵がなかなかシュールです。
自分で読んであげるのはちょっと、、、という場合、児童書出版大手のスカラスティック社からCD付のものが手に入るようです。
容赦ない実力主義
そして驚いたことにフォニックスを学び始めて3か月程、ちょうど本が配られるこの頃から既に容赦なく選別が始まります。
フォニックスの理解度によってクラスが変わるのです。
日本と同じように例えば「チューリップ組」というクラスで特に学力差も考慮せず普段は学ぶのですが、フォニックスのクラスだけはレベル分けをされてそれぞれ別の教室に散っていきます。
ある子どもは理解が早いので次のフォニックスの学習レベルに進み、別の子は今まで習ったことがまだしっかり定着していないので内容の復習がメインのクラスという具合です。
日本では中学受験や高校受験で学校単位で大きくレベル分けされることはあっても、クラス単位で分けられるのはよっぽどの進学校くらいではないでしょうか。
実は私もアメリカの高校時代は英語、外国語、数学、理科は学力レベルでクラス分けがありました。
例えば数学は日本人としては普通のレベルでしたが、アメリカの学校ではピカイチに出来たので、5人くらいの少人数で通常のカリキュラムよりもレベルの高い難題ばかり取り組むクラスに入りました。
一方理科などは普通だったので、逆に習得レベルが学年に追い付いていない一つ上の学年の子が一緒に学ぶこともありました。
日本は極端に競争を嫌う傾向があって、クラスの学力がどれだけばらついていても、みんながついて来れるように「中の下」くらいのレベルで授業を進めている印象がありますが、出来る子がやる気を失わず、私は本当の意味で落ちこぼれを防ぐという意味で、習熟度に合わせたクラス分けというのは非常に理に適っているし、日本でも早く導入されるべきだと思っています。
さて、Lamaの娘は英語ゼロで始まったものの3か月で5つあるレベルの真ん中のクラスに配置されました。
どんな学習をしていったかはまた次で~
読んでいただきありがとうございます。
このブログがあなたのお役に立てれば嬉しいです(^^)
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