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「三歳児神話」をなぜ信じる人がいる?日本への影響について考えた

「3歳児神話」という言葉の意味を知っていますか?

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3歳まではしっかりと母親が家で子育てをした方がよいという説で、今も40代以上の人は男女問わず信じている人も結構多いのではないでしょうか。

この言説のもとになったのは、1951年当時、イギリスのボウルビィという精神医学者が、孤児院などで子供の心身の発達の遅れが多い理由を調査し『母性的な療育が欠けているため』とその原因を指摘したことだと言われています。

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(出典:NHK生活情報ブログ

日本語では「三つ子の魂百まで」という言葉が古くからあったり、この報告書が出た当時の日本は当たり前のように、専業主婦の母親が家庭にいたため、この報告書は自分たちの育児の正しさをまるで証明してくれたかのような捉えられ方をしたのかもしれませんね。

時代や生活環境が全く違う、70年近く前の海外での言説が今の日本人女性にまだ影響しているというのは驚くべきことのような気がします。

残念ながら子育てに関する風説は、育てられた・育てた経験を経て3世代くらい進まないと根強く残ってしまうものなのかもしれません。

こういうものこそ、論文など科学的な根拠で本当かどうかをチェックしてみよう!と思って調べてみました。

三歳児神話の否定

アメリカでも仕事をする母親が増え始めた1980年代に、子供を保育園に預けるべきではないという論争があったそうです。

自由の国アメリカでもこの「三歳児神話」が信じられていたなんて、ちょっと意外ですね!

子供が小さいうちから母親が仕事に出るのは発達に悪影響があると信じられていた時代に、アメリカのイェール大学のスカー教授は子供の健全な発達に必要な4つの要素を研究で明らかにしました。(出典:働く母親と育児

その4要素がこちら!

①食事

②衛生

③睡眠

④無条件の愛

この4つの要素が適度に与えられていることが子供の健全な発達に必要だ!

こんなことを大真面目に調査結果として言われたら拍子抜けしませんか?!

こんなの当たり前じゃない?

適度!」ってテキトーかよ(笑)

そして「母の愛」じゃないんだ!

こんな声が聞こえてきそうです(笑)

この最初の調査以降も、万人単位の大規模な調査だけでなく、複数の研究結果を集めて統合し、再度分析を行うメタ分析という手法を使った研究でも同様に、働いているなど母親が生後早い時期から近くにいなくてもその後の子供の発達に影響はなかったと結論付けています。(出典:Gakken子育てマップ

【海外の事例】中国の育児

実際、日本のようにお母さんが働いていて、家事もして、育児もして、子供の勉強も見て…というのは、世界的に見てもかなり少数派だと思った方がよさそうです。

私は以前、家族で北京に住んでいたことがあったのですが、中国人のお母さんたちに一番聞かれたのが「日本のお母さんは家事も育児も全部自分でやっているって本当なの?」ということでした。

私は北京に住む前は、0歳から子供を保育園に預けてフルタイムで仕事をしていたので、その話をすると、複数の子供の世話はもちろん、掃除をしたり、料理を作ったり、そのうえ仕事も持っているなんて「もはやスーパーマンだね!」と中国人ママたちに驚かれていました。

中国では一般的にお手伝いさんが料理や家事をして母親は仕事をするというパターンが標準です。

子供が生まれると、保育園がそれほどちゃんと整備されていないということもあり、どちらかの祖父母が同居して育児して孫の面倒を見ます。(しかも子供は大体一人っ子!)

お手伝いさんといっても家庭によっては複数いる場合も多いんですよ。

お手伝いさんも料理担当、掃除担当と二人いたり、じいじ・ばあばの孫のお世話も赤ちゃんのうちはまだよいのですが、勉強までは教えてあげられないので、さらに家庭教師が来たりもする上に、両親は子供なしで仕事はもちろん、夫婦で遊びに行ったり、海外旅行に行ったり、かなーり自由にやっていました。

(うらやましい…)

私が接していたのはかなり裕福な家族の事例なので、もうすこし慎ましやかな家庭の方が多いかもしれませんが、共働きが当たり前の中国では、少なくとも当たり前のように親が同居して孫の面倒を見ていたり、お手伝いさんがいるというのは平均的な姿なので、「日本人のお母さんはスーパーマンなの?!」という感想は持つのではないでしょうか?

自分でワンオペで頑張って面倒見る!なんて発想はそもそも皆無なので、数年前に一人っ子政策が事実上撤廃されたにもかかわらず、子供がいるとお金がかかるから産まないという選択をする人も増えています。

(だから現代中国は、若者の就職難も相まって今めちゃくちゃ少子化です…)

また、中国に住んでいる時、中国以外の国のお母さんたちとも話しましたが、自国ではお手伝いさんがいたり、大家族で子供の数以上の大人が家にいることが当たり前だったり、職業的にかなり柔軟な働き方ができたり、お弁当はジャム塗っただけのパンとりんごで済ませるなど、日本のお母さんの話をすると「え!そんなにやっているの?!」と目が点になる感じでした。

日本の母も超人ではないはず

上述の調査結果、①②はもちろん社会問題として貧困家庭のことはあるものの、現代の日本で子育てをしている多くの人は明日の食べ物に困っているとか、雨風をしのぐ場所がないと心配することはほぼないと思います。

ただ、③はできていない場合も多いため、少し注意が必要です。

早寝早起きで良質な睡眠をとるべきだというのは、大人にも同じことがいえますよね。

朝学校や会社に行く時間は決まっているので、夜寝るのが遅くなると、当然寝不足になります。

睡眠時間が短いと体がしんどくなったり、疲れやすかったり、集中力が落ちてミスが増えたりということが起こりませんか?

平日一週間寝不足でなんとか乗り切って、休日は昼前まで爆睡というパターンは睡眠の質を下げて、成長ホルモンの分泌を妨げるそうですよ。

何時間寝ればいいというトータルの時間も大切ですが、睡眠は毎日同じ時間に寝起きするというリズムが大切だったりするので、特に発育中の子供には規則正しい生活を習慣づけることは家庭の責任かもしれません。(出典:サンスター

こういうのは「習慣」ですからね。一度できるようになると、定着するので頑張りたいところ。

そして④には「無条件の愛」があります。

これは母親でなくてもOKということ。

もちろん父親や祖父母といった血縁がなくても、保育園の先生、近所の人など、相手が誰であっても「私は愛されている」と子供自身が感じられてさえいれば、発達面で何ら問題はないそうです。

「3歳児神話」や「三つ子の魂」という表現に一部正しさがあるとすれば、「自分は世界にとって価値ある存在だ」と子供が自分を好きになれる状態を作ってあげるという点においてではないでしょうか?

こうして研究で適度かつ誰からでもOKということが明らかになっているものの、日本ではまだお弁当や学校用品など手作りにこだわったり「母の愛が必要だ」という観念に母親自身も縛られしまっているのではないかなと感じました。

70年近く前の調査結果に振り回されていることはもちろん、母親自身も「母親としての愛情」を形式的に表現することにこだわっている気がしました。

冷凍食品や、スーパーのお惣菜だの、手作りのカバンって愛情関係なくないですか?(笑)

得意な人、時間のある人、好きな人がやればよくて、あなたなりの愛情表現でいいのではないでしょうか?

ちなみに私はキャラ弁も作れないし、ミシンも使えないし、掃除も家事全般苦手なので、愛情表現は「本を読むこと」にしています。

楽しい時間を一緒に過ごすだけで、満たされた気持ちになりますよね。

それでいいんだと思います!

もっと言うと、「誰の愛情でもいい」と言われることに母親自身が寂しさを感じているのかも、ということにも気づきました。

母親ならば誰でも「子供の存在は私が守らなきゃ!」と思って行動することで自分が満たされているということが多少なりともあるのではないでしょうか?

これは程度の問題ですが、過度に子供の存在に依存すると、子供の問題が自分の問題になってしまって一緒に落ち込んだり、過剰に心配してしまったりして、子供との関係性が難しくなっていく場合もある気がします。

共依存関係にならないように、母親も子供も一人の人間として尊重し合える関係でありたいですよね。

あと、この④の無条件の愛が誰でもよいということについて、すごく納得したのは、人間がここまで世界中で種として繁栄できたのは、子供が多様な育てられ方を許容できる柔軟性を持って生まれてきたからだという読み方ができる点です。

例えばチンパンジーなどは赤ちゃんがお母さんにずっとしがみついた状態で5年程過ごすそうです。

もちろん、5年間の育児期間中お母さんチンパンジーは別の子供は産めません。

そして母親に何かがあれば、それは即ち赤ちゃんチンパンジーにとって死を意味します。

人間は他人を信用して、自分にとって一番大切な子供を人に預けたり、周囲から愛情を注いでもらって一緒に育ててもらうことができたことで、出産機会が増えて反映したという種としての繁栄の歴史があるそうですよ。

この話は別の記事にも書いたので、よかったら読んでみてくださいね!

https://rani-coach.com/evolution/

さて、日本人の母親は世界中の子育てスタイルの中でもめちゃくちゃ頑張ってます!

むしろ頑張りすぎて、子供にイライラしてきつい言葉使ってしまっては「無条件の愛」の逆効果になってしまうので、その点だけは気を付けてくださいね。

生きているだけで正解!

もっと子供のたくましさを信じましょう!

そしてママの皆さんも力を抜いて適度な愛で接してくださいね(笑)

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