ドラッカーの有名な言葉に「すでに起こった未来」というものがあります。
「すでに起こった」のに「未来」??と聞いただけでは混乱してしまいますが、実はこの言葉、未来の話をしているのではなく、過去と現在をどう捉えるかという視点がポイントになります。
ギリシャ時代のものの見方
私たちはなんとなく未来に対して明るい光のある方向というイメージを持っていますよね。
「前に向かっていこう」というセリフを聞いた時、未来のことを言っているんだなと想像します。
でも、古代ギリシャ時代これは逆だったそうですよ。
未来は夜のように暗くて何も分からないけれど、過去はよく見えるので日の光がある場所だ
こんなふうに考えられていたそうです。
日本語にも「一寸先は闇」という言葉もあるので、未来は何が起こるか分からないという畏れを人類は根っこに持っているのかもしれません。
確かに過去に起こったことははっきり分かりますし、いつでも振り返ることができます。
現代は明日の天気がどうなるとか、台風がいつ来るということは気象衛星があったりするので、当時よりも未来が一部見えるようになっていますが、今でもいつ地震が来るかなどは誰にも分からないですよね。
いつの間にか未来が前で光を感じる方向に変わっているのは不思議ですね。
未来について分かっていることは2つだけ
経営学の父とも呼ばれながら、あまりに未来に関する予測が的中してしまうため、「未来学者」とも言われたドラッカーによると未来についてわかっていることはこの二つだけだそうです。
- 未来は分からない
- 未来は現在と違う
何も分からないからお手上げ!となるのではなく、10秒前であろうと、10年前であろうと、起こった事象も、自分が取った行動、相手の反応も含めて、過去は「すでに起こった未来」として観察・思考の対象にできるとドラッカーは書いています。
つまり、私たちが向き合えるのは過去だけだということ。
観察・思考の対象の中で、未来の変化の芽を見つけることができたのが、あれだけの業績につながったんですね。
私がコーチとして注目しているのも、このクライアントさんは過去、どうやって成果を挙げてきたのか、その人の強みを見出すこと。
自分の未来に対して不安を抱える人は多いもの。
だからこそ、自分がどんな経験をしてきたかという過去をまず棚卸してみます。
すると、自分の強みや価値観がよりクリアになり、現在の課題をとらえる視点も変化していきます。
ここまでくると、大概のクライアントさんは、視野が広がり、課題の解決に向けて前向きに慣れたり、問題だと思っていたことが問題ではなかった、という問題解消が実現するんですよ。
そして現在位置が確認できるとそこを発射台に、自分の強みをエンジンにしてどこまでも飛んでいける可能性が見いだせます。
もちろんこんなことを一人で内省することもできるのですが、自分一人で考えていると、ぐるぐると思考のループにはまってしまいがち。
コーチという第三者から普段と違うところから質問のボールを投げていくことが有効だと思っています。
ちなみに自分の未来について唯一はっきりわかることがあります。
それは年齢です。
10年後、私も家族も確実に10歳年を取ります。
その時にどんな自分でありたいか、未来に期待することはできるし、それに向けて今行動することも選択できます。
どんな未来も願うだけでは実現しません。今日できる行動を一つでも終えていくことが、ありたい自分に近づく確実な一歩になりますよ。
さて、今日は何をしてみますか?
今日の質問
10年後のありたい自分は
どこで誰と何をしていますか?